創設者の声
湊 真司 Minato Shinji
京都大学 工学部 物理工学科
2018年卒業
サークルで感じた「違和感」
僕はものを作ることと売ることに両方興味があったので、最初は、「機械研究会」というものづくりのサークルと「TPEC」というビジネスサークルに入っていました。1回生の時にはとても勉強になる事が多いし、有意義だと感じていたのですが、2回生になるあたりから少し違和感を覚えるようになっていました。というのもビジネスサークルではビジネスのアイデアを考えてビジコンに出場したりするのですが、プランだけ発表して終わりなので、全然ビジネスをしてないやんかと(笑)一方で、ものづくりのサークルではいろいろなロボットを作れるのですが、あくまで作って自己満足で終わってしまう。そこで思いついたのが、「素数ものさし」のような京大らしいユニークなグッズを作って販売したらいいじゃないか、ということでした。
ものづくりに関しては、サークルである程度やり方も知っていて自信が合ったのですが、製品開発にはそれまで経験したことのない難しさがありました。例えば、「円周率コースター」という製品では、レーザー加工機という光でものを切断する機械を使って、円周率の部分を印刷ではなく彫刻で加工しています。レーザーで彫刻することで、印刷とは違い剥げることがないので長い間使用できますが、一枚一枚の作成に時間がかかり、どうしてもコストがかかってきます。円周率コースターでは企業とも協力しながらこの問題を解決したのですが、このように実際の製品特有の様々な制約があるため、それまでのものづくりサークルで作る時とは違った難しさがあり、それが同時にやりがいでもありました。
アイデアを製品にする難しさ
これからやっていきたいこととしては、京大工房をビジネスやマーケティングなどに興味がある人と何かを面白いものを作りたい人が出会える場にしていきたいですね。これは僕が実際工学部に入って感じたことなのですが、工学部ではものづくりの方法に関しては教えてくれるけど、作ったものを買う側の視点ではどうなるのか、ということは教えてくれません。逆に経済学部とかだとマーケティングなどの理論とかに関しては教えてくれるそうですが、学んだ知識を実践する場がない。そこでユニークなグッズの開発・販売を通して、ものづくり、そしてビジネスを実践できる場としてありたい、というのが京大工房の目指すものなんです。あとはやっぱりものづくりってやってみるととても面白いので、高校生や大学生に対しても、ワークショップや工場見学などを通して少しずつでもものづくりの面白さを知っていってもらえたらと思います。